淡水パール(淡水真珠)とは、本真珠の一種で母貝にイケチョウガイ(池蝶貝)や、三角貝とも呼ばれるヒレイケチョウガイ(鰭池蝶貝)などの淡水生の二枚貝を使って養殖された真珠のことです。
本真珠には天然真珠と養殖真珠がありますが、本物の天然真珠は大変希少で市場に流通することは稀なため、一般に流通している本真珠のその殆どが養殖真珠になります。
養殖真珠はピースと呼ばれる真珠貝の外套膜組織の一片を切り取ったものを母貝の体組織の中に挿入する方法で作られます。ピースを侵入された母貝の外套膜上皮細胞にはポケットと呼ばれる真珠袋が作られ、この真珠袋が分泌する貝殻質によって作られるのが真珠になります。
この方法は明治40年(1907年)に御木本幸吉氏の娘婿の西川藤吉氏によって特許出願されたピース式や西川式と呼ばれる養殖真珠の方法で、今日の真珠養殖の技術の基礎となっています。
養殖真珠には、アコヤ貝をはじめとした海水生の貝を母貝として海で養殖された海水パール(海水真珠)と、イケチョウガイやヒレイケチョウガイ等の淡水生の貝を母貝として主に湖で養殖された淡水パール(淡水真珠)とがあります。
海水パールのほとんどは、貝殻を真円に成形した種玉を核として外套膜組織に包んで母貝の体組織の中に挿入することで、種玉の周りに真珠層が形成されていくことで作られる有核真珠になります。核となる種玉が真円のため、形もサイズも揃うものが多いです。
その一方で、淡水パールは有核と無核のいずれも方法でも養殖されています。
戦前の淡水パールの養殖では有核真珠が主流でしたが、戦後になって淡水パールの養殖ではピース(真珠貝の外套膜組織の一片)のみを母貝に挿入する無核養殖の方が良質な真珠ができることが偶然わかり、有核養殖から無核養殖へと代わって行きました。
無核養殖された真珠は、真珠貝の細胞片の周りに真珠層が作られるため、ほぼ100%が真珠質でできた真珠になります。淡水真珠の場合は1つの母貝で作られる真珠の数はおよそ10~40粒位にもなりますが、真円のものはごく稀にしか採れず、そのほとんどが非真円のライス型やティアドロップ型などのさまざまな形状になり、一粒の大きさは無核真珠で3~6mmと小粒のもの比較的小粒のものが大半でした。
1990年代に入ると中国でヒレイケチョウガイを母貝として有核養殖された真円の淡水パールも作られるようになってきました。当初はサイズが5~7mmと小さめで、真珠層の巻きの厚さはあっても輝きが今一歩と評価されていましたが、その後に養殖技術の進歩で品質が向上し、養殖期間の延長(4年半~5年半以上)によってサイズアップするなど、様々な技術革新によって品質の高い淡水パールが生産されるようになり、近年では6~8mmが主力サイズとなってきています。中には養殖期間を7~8年に延長することで10mm以上の大粒サイズの珠も出回るようになりました。
現在、市場に流通する淡水パールの大半はヒレイケチョウガイを母貝とした淡水パールになります。
ヒレイケチョウガイを母貝として養殖された淡水パールの特徴は、表面の真珠層が滑らかで、丸みを帯びた形状になります。オレンジ系やバイオレット系やワイン系などカラフルな色の珠ができやすく、この3色とホワイト系が基本の色になります。純白のホワイトの珠は非常に少なく、国産のイケチョウガイの淡水パールと比較して、ホワイト系でも多少黄色がかった珠が多くなります。
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